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友好訪問詳細

友好訪問「中日両国には先輩たちが築いた”文化交流の基礎”がある」

2015年10月1日号
陳 ソウ(ちん そう)さん
中華人民共和国駐日本国大使館参事官(文化担当)
陳 ソウ(ちん そう)さん  ※ソウはごんべんに争

1967年生まれ。89年に北京第二外国語大学日本語科を卒業し、同年中国文化省に入省。同省対外文化連絡局のアジア課に所属し、現在に至り 日中両国間の文化交流事業に深く携わる。2度の駐日中国大使館勤務を経て昨年11月から現職

文化交流一筋のベテラン外交官

 中国文化を日本で広く発信する駐日中国大使館文化部の責任者。大使館勤務は3度目で日本駐在は通算10年目になる。日中文化交流一筋のベテラン外交官の一人。

 相撲や野球など日本文化をこよなく好む。「大相撲の『中日友好景泰藍杯』はご存知ですか。東京場所の千秋楽では、大使館の代表が必ず優勝者に授与します」

京劇と歌舞伎の共通点、相違点を熱弁し文化省へ

 少年時代は安徽省で過ごし、1985年に北京第二外国語大学へ進学。「英語の次に身につけたい語学」として日本語科を選んだ。「当時、多くの中国人が日本の進んだ科学技術に注目していた。将来は日本語を使って、日本の良い所を学びたいと考えていました」

 「84年日本青年3千人訪中」など当時は日中関係が熱を帯びていた時代。開放政策を進める中国では「鉄腕アトム」などのアニメ番組も多く放送され、日本文化への興味をかきたてられたという。「珍しかったのは日本のアニメ番組で流れたコマーシャル。当時中国にはまだテレビ広告というものがありませんでした」

 「学んだ日本語を生かしたい」と進路を考え、中国文化省に応募。採用されたのは「面接で話した内容のせいかな?」と笑みを浮かべた。「中国の京劇と日本の歌舞伎の、共通点と相違点を面接官に話したんです。もともと興味があり、気がついていたことです。それが良い印象を与えたのかもしれません」

 在学中、日本語科の学生は、日本の伝統芸能の北京公演などをよく鑑賞させてもらっていたという。

若者が関心持ちやすい文化交流を考えたい

 「中日両国の文化には共通点が多く、ルーツも同じ。互いに理解しやすく、交流もしやすい。中国の対外文化交流でいえば、日本との交流は数と質の両面共に、おそらく世界一でしょう。しかし残念なことに、2012年以降は両国の政治関係が悪くなり、統計から見ても、年間の文化交流イベントの数はこれまでのわずか3分の1に過ぎません」

 日中間には「先輩たちが築いてきた”文化交流の基礎”がある」と強調。文化交流に対する並々ならぬ思いをのぞかせた。

 「中日両国の民間交流、特に文化交流は政治関係の影響を受けるべきではなく、両国関係の改善と回復のための潤滑油、起爆剤になるべきです。困難な時期こそ、多くの人々に中日関係改善の希望を与えるべきです。かつて岡崎嘉平太先生は『日中が相互理解に達するには、中国の分かる日本人と、日本の分かる中国人が必要である。いればいるほどよい』と話されました。”国の交わりは民が親しみ合うことにある”。これからはもっと多くの若者が文化交流に身を投じていただくことを心から期待しています」
(北澤竜英)