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友好訪問詳細

友好訪問「日本人が二胡を弾くこと自体が“友好”、文化交流にプラスして『心』も表れる」

2015年3月1日号
二胡奏者 張 濱(ちゃん びん)さん
二胡奏者
張 濱(ちゃん びん)さん

遼寧省出身。7歳で二胡を学び、18歳でプロデビュ―。中国国立南京前線歌舞団を経て、92年に来日。2000年に芸術ビザ取得(二胡で初)。二胡奏者として演奏や楽曲提供(夏川りみ「海の手招き」)、技術指導など幅広く活躍。NPO法人チャン・ビン二胡演奏団理事長、中国音楽家協会二胡学会特邀理事、南京市政治協商会議海外特邀委員、南京市対外文化交流中心理事など

4月5日に名古屋・徳川園で「桜・二胡音楽会」を開催

 来日23年の二胡奏者。愛嬌のある、親しみやすい人柄で「チャン・ビン二胡演奏団」を束ねる。端正な容姿もまた魅力の一つだ。

 「二胡文化を普及させ、中日友好を発展させたい」

 愛知県と江蘇省の友好提携35周年を記念し、4月5日に名古屋の徳川園で10回目の「桜・二胡音楽会」を開催する。主催は自らが代表を務める二胡演奏団で結成10周年になる。

 演奏団結成のきっかけは2005年に開催された愛知万博「愛・地球博」。万博EXPOドームで、自身が指導する生徒123人とともに「二胡大合奏」を披露した。これが基礎になって演奏団結成へ。翌年春に最初の「桜・二胡音楽会」を徳川園で開催した。10年続く今では、2000人の市民が集まる地域イベントとしてにぎわっている。鑑賞は無料だ。

子どもの頃の思い捨てきれず来日

 遼寧省生まれ。7歳から二胡を学び、18歳でプロ奏者に。その後は国立南京前線歌舞団に入団し、演奏者として中国全土を回る忙しい日々を送った。

 その傍ら、胸に秘めた日本への思いがあった。子どもの頃にテレビで見た日本のドラマやアニメ。そこから流れる挿入歌のメロディーに心引かれた。「こんなすばらしい音楽を創り出す日本へいつか行ってみたい」。衝撃的な感情とともに強い願望のようなものが残った。それはプロ奏者になっても変わらなかった。

 思いを捨てきれず、1992年に来日。友人や家族の反対を押し切り、国家演奏家としての地位を投げうってのことだ。

 来日後は、名古屋芸術大学や愛知県立芸術大学で音楽を学びながら、日本での音楽活動を始めた。

 「大好きな日本で二胡をもっと広めたい。二胡を通じて多くの人ともっと友好を深めたい」

 地道な活動が愛知万博での大合奏公演に結びつき、二胡演奏団を設立。二胡の大合奏公演は5年後の上海万博でも行い、世界へ向けて「友好」のメッセージを発信した。

“新たな日本文化”に二胡教室25校を主宰

 「日本人が二胡を弾くこと自体が“友好”。それは文化交流にプラスして友好の『心』が表れるからです。だから『日本人が中国の楽器を奏でている』と単に思うだけでは寂しい」

 主宰する二胡教室は、現在中部地方4県に25教室。小学生から大人まで幅広く二胡に親しんでいる。

 「二胡は学べば学ぶほど奥が深い楽器。その音色は人の心へとつながる美しさをもっています」

 二胡を通じて出会った人への感謝を胸に、友好の懸け橋になる決意がある。

 「二胡が“新たな日本文化”になるよう頑張っていきます」
(北澤竜英)