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友好訪問詳細

友好訪問「いつかは有名な京劇俳優のように派手なアクションの演目をやってみたい」

2014年11月1日号
新潮劇院所属の俳優 大島陸(おおしま りく)くん
新潮劇院所属の俳優
大島陸(おおしま りく)くん

2004年9月、神奈川県生まれの一人っ子。好きな食べ物は日本そばなどの麺類と、中華料理の「豆腐脳」など。校内活動が大好きで、相談係を担当している。京劇の小道具「馬鞭」のコレクションも豊富

中国の京劇コンクールで金賞を受賞した小学生

 都内の京劇団・新潮劇院で練習に励む小学校4年生(10歳)。今年8月に江蘇省泰州市で行われた少年版京劇コンクール「小梅花」に出場し、金賞を受賞した。仮面ライダーなど“ヒーロー物”の着ぐるみを着て演じる役者「スーツアクター」になるのが夢だという。

 京劇との出会いは幼稚園児の頃に見たテレビ番組がきっかけ。食いつくように番組を見たという。「やってみたい」と母親に頼み込み、5歳から基礎を学び、昨年から本格的に演技の練習を始めた。

熱心な指導を受けメキメキ才能伸ばす

 練習は、週2回こなし、遅くまで行うこともしばしば。同院の張春祥代表の「手をもっと伸ばして」「左足に重心を置いて」といった指導を受け、ブリッジなどのきついメニューにも歯を食いしばる。中でも、体を素早く回転させる「翻身」の連続動作が一番難しいと言う。北京に留学経験のある母親の熱心な教えもあり、劇中の中国語でのセリフや歌もメキメキ上達している。

 しかし、劇団員は全員大人で子どもは一人。友達を誘っても「みんな京劇自体を知らないから難しい」と残念がる。

 それでも練習を重ね、今年4月には中国中央テレビ(CCTV)で放映された子どもの伝統劇大会に出場。『水滸伝』の英雄に因んだ演目『林冲夜奔』を演じ、最高点の五つ星を獲得した。その後、張代表の「時期尚早」とのアドバイスを振り切って「小梅花」に出場し、同演目を披露。中国系ではない外国人として初めて参加し、高得点で金賞を得た。「これでダメなら京劇を辞める覚悟だった」と言い、「緊張しました」と振り返る。

母親の影響で中国文化に多く触れる

 母親いわく、「性格はマイペース。でも何事も熱心にやる子」。仮面ライダーの大ファンで、番組放送日の日曜の朝は一人で飛び起き、フィギュアもほとんど揃えているほど。練習の無い日は、友達とフィギュアで遊ぶという。

 母親の影響もあって中国文化に触れ合う環境に恵まれ、今年1月には桜美林大学孔子学院の漢詩朗読会に参加し、特別賞を受賞した。通っている塾には中国人の子どもがいて、こっそり中国語で答えを教え合うことも。中国にもこれまで3回行った。

 中国には同世代の京劇友達がいる。言葉は通じないものの、かけっこや側転を競い合って打ち解けた。「8月のコンクールで、4月に知り合った友達と再会できたことがうれしい。自由に中国語を話せたら、もっと楽しいんだろうなあ」と話す。「でも勉強は好きじゃない」と正直だ。

 一方で、中国での旅行中に間違えて中々電車が止まらないローカル駅で降りてしまう“大ピンチ”に遭ったことがある。「困っていると、親切な方が三輪バイクで目的の駅まで送ってくれた」という。

仮面ライダーのようなスーツアクターになりたい

 現在は演目の一つ『石秀探庄』の練習に励んでおり、主役公演を目指している。目標は、「武生(立ち回り役)」で有名な京劇俳優の王璐と郝帥。「彼らのように、いつか派手なアクションが多い『戦馬超』や『殺四門』などの演目をやってみたい」と、現在は体操教室にも通っている。

 それでも夢は仮面ライダースーツを着ること。「(ライダーを演じる)高岩成二さんが大好き。将来はやっぱりスーツアクターになりたいです」。京劇俳優もスーツアクターと同じ、派手なアクションを演じる“英ヒー雄ロー”だ。
(田島恵輔)