会報『日本と中国』

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友好訪問詳細

友好訪問「改革を行うのではなく華僑の伝統を守っていきたい」

2014年7月1日号
学校法人 横浜山手中華学園 横浜山手中華学校校長 張岩松(ちょう がんしょう)さん
学校法人 横浜山手中華学園 横浜山手中華学校校長
張岩松(ちょう がんしょう)さん

1975年、吉林省生まれ。99年に北京語言大学を卒業。同年から北京華文学院に務め、2000年から05年まで横浜山手中華学校に語学教師として派遣される。08年2月に同院を退職し、同年4月から同校に本務教諭として入職。教導部長(11年〜)、理事(12年〜) などを歴任した。趣味は歴史の本を読むこと

4月に39歳の若さで校長に就任した

 今年4月に、横浜山手中華学校の第6代校長に就任した。両親は在日華僑ではなく中国で生まれ育った。まだ39歳と若く、生徒たちから見れば優しいお父さんのような年齢だ。

 北京の大学を卒業後、現地の北京華文学院に就職し語学を教えた。2000年に、交流校である横浜山手中華学校に語学教諭として赴任し、初めて日本を訪れた。

 それまでは特に日本との縁は無く、日本人の知り合いもいなかった。来日して「日本の何もかもが新鮮でした」と当時を振り返る。日本語は少しずつ覚えていった。

 同校では初め、生徒たちに中国語や数学、中国の歴史・文化などを教えた。その傍ら、同校記念誌の編集責任者として、その中の「百年校史」を担当。華僑が築き上げてきた100年の歴史が一朝一夕で完成するわけもなく、「3年間、毎晩遅くまで作業していました」と、分厚く重たい本を見せてくれた。

華僑を分かりやすく生徒たちに教えたい

 2005年に任期を終え一度帰国し、08年に同校に戻ってきた。その後、11年に教導部長(教頭に相当)になり、今年の理事会で校長に選出された。異例の若さでの抜擢に「責任の重さに大きなプレッシャーを感じている」と話す。

 今年度の生徒数は小中学校合わせて約540人。そのうち、両親が共に日本人の生徒は約30人で、国籍の分け隔てなく指導する。入学を希望する日本人の子どもも増えているというが、彼らは華僑の子どもたちの定員割れがあって初めて応募できるという。「期待に応え生徒の総数を増やしたいが、現状はなかなか難しい」。学校では「三好五愛※」の校訓の下に、日中両言語での授業はもちろんのこと、生徒の自主性を育てる「能力開発教育」に力を入れている。

 しかし、とりわけ難しいのが「子どもたち」に「両国の文化の微妙な違い」を教えることだという。何よりも「そもそも、華僑とは何で、華僑の学校とは何なのか。そうした点から教えなくてならない。校長として生徒たちに分かりやすい説明ができるようになりたい」と語る。

全国の華僑が支えてくれている

 地元の人々との繋がりも大切にしていて、周辺の学校と共同で運動会を行ったり、教員同士の懇談会などに参加したりしている。「そうした交流は将来、中日関係改善の一つの道になります。特に子ども同士のふれあいは、青少年交流への期待が持てます」。「実際、卒業生はみな日本の高校に進学し、国際関係の仕事などで活躍しています」と強調する。

 そうした子どもたちを支えるのが全国の華僑だ。2010年にできたばかりの新校舎の建設費用をはじめ、運営資金などたくさんの寄付をしている。

 「本校は世界で最も古く、世界最大の華僑の学校。華僑が歴史を築いてきたこの学校を愛しています。改革を行うのではなく、両国の言葉と文化を理解し友好を促進するという116年の伝統を守っていきたい」と揺るがない。

 「将来子どもが生まれたら、もちろん本校に入れます」
(田島恵輔)

※ 三好:品行・学習・身体の向上を目指す。五愛:祖国・集団・労働・清潔・自然を愛する