会報『日本と中国』

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友好訪問詳細

友好訪問「日中間の「足」、そして友好の「支え」となる路線を設けるのが“夢”です」

2014年6月1日号
春秋航空日本株式会社 代表取締役社長 鵜飼博(うがい ひろし)さん
春秋航空日本株式会社 代表取締役社長
鵜飼博(うがい ひろし)さん

1946年東京生まれ。東京大学工学部航空学科卒業、同大学工学系大学院航空専修コースを経て72年に運輸省(現国土交通省)に入省し、航空局に勤める。米ボーイング社での技術研修(シアトル)や航空局航空機安全課首席整備審査官、在シアトル領事(外務省出向)を経た後、航空局運用課長(95年)、同局航空安全課長(98年)、新東京国際空港長(98年)などを歴任

8月1日から国内3路線を就航する中国系LCC社長

 8月1日から成田空港を軸とした広島、高松、佐賀の国内3路線を就航する日本の格安航空会社(LCC)、春秋航空日本の社長。2012年9月の会社設立から約2年、「待ちに待ったという気持ちです」と晴れやかに話した。

 広島、高松、佐賀の3都市を選んだのは、同じ「春秋グループ」である中国のLCC「春秋航空」の路線が上海を軸に茨城、大阪、高松、佐賀にすでに乗り入れているから。日本人は中国渡航がしやすくなり、上海からの中国人観光客は国内線への乗り継ぎがスムーズになる。そのため、客室乗務員(CA)の育成には中国語の指導も盛り込んでいる。「先日、日本のCAが上海で中国のCAと交流しました。やはり中国と密接な関係にある航空会社という特徴を生かしたい。CAの方々にもそうした意識を望んでいます」

日中の職員らで構成違い乗り越えながら

 子どもの頃からの乗り物好きが高じ大学では航空工学を専攻。それからは一貫して航空畑を歩んできた。運輸省(現国土交通省)入省後は米ボーイング社での1年間の技術研修も経験した。「ちょうど737(春秋航空日本が使う旅客機)の開発途中で設計部門で研修させてもらいました」。その後、在シアトル領事を務めるなど米国との接点が多く、中国と深く関わってきたわけではない。

 しかし、今年で40周年となる日中航空協定の締結や日中定期便就航のニュースについてはよく覚えているという。「運輸省3年目の頃。新たな時代が始まるな、という印象がありました。締結の40周年の今年に春秋航空日本がスタートできることは大変うれしい出来事であり、将来日中路線に参入がかなえばさらに喜びが得られます」

 満を持しての 「テイクオフ」。しかし、2年近い準備期間では苦労も少なくなかった。同社は、日本の航空会社OBのベテランと日中双方の若手職員らで構成。ベテランが持つノウハウをなるべく早く若手に伝えようと努めている。「異なる文化を持つ日中の職員が集まって作業が始まりました。考え方に違いもあり、もちろん最初はうまくいかないこともありました」

 目標に向かい一つになるため、まずは互いに理解し合い、仕事を含む「生活環境」の安定に努めたという。「中には初めて日本に来た中国の職員もいる。休日に日本語を学ぶ彼らの努力には感心しています。彼らには日中の違いを乗り越え、ここで学んだことを将来中国で生かしてくれればうれしい」

40年の日中航空網「まだまだ足りない」

 40年を経た日中間の航空網については「まだまだ足りない。もっと発展できる」と言う。「東アジアは広くない。国内線同様に自由に飛べるようになるべきだし、それだけの需要もあります」

 「そのような意味で私たちの役割は非常に大きい。日中の職員が一緒に仕事をしているわが社が、いつか日中間の“足”となる路線を設け、結果としてそれが人的交流を深める。うれしいし、やりがいもあります。特に日中の若い人には、お互いの生活に入り込み、たくさん友達を作ってほしい。それが日中友好の“支え”“基礎”になると思います。私たちの“夢”の一つです」
(北澤竜英)