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友好訪問詳細

友好訪問「中国屈指の知日家、周作人が日本でももっと評価され、知られてほしい」

2013年 4月5日号
東京工業大学外国語研究教育 センター教授・哲学博士 劉岸偉(りゅう がんい)さん
東京工業大学外国語研究教育 センター教授・哲学博士
劉岸偉(りゅう がんい)さん

1957年北京市生まれ。大学入試が復活した77年北京外国語大学に入学。北京大学を経て82年来日。東京大学大学院総合文化研究科比較文学・比較文化専攻博士課程修了。専門は比較文学。札幌大学助教授を経て2003年から現職。著書に『東洋人の悲哀—周作人と日本』(河出書房新社/91年、サントリー学芸賞)、『日本を問い続けて』(岩波書店/04年)など多数

和辻哲郎文化賞を中国人で初めて受賞

 そうそうたる審査員が居並ぶ権威ある「和辻哲郎文化賞(一般部門)」を中国人で初めて受賞した。同賞は哲学者・和辻哲郎の出身地、兵庫県姫路市が設け、今年で25回目を迎えた。

 魯迅を兄に持つ中国の知日派作家・周作人の82年の波乱の生涯を描いた大著『周作人伝 ある知日派文人の精神史』が受賞作品である。著者の25年以上にわたる周作人研究の集大成であり、執筆・刊行に9年かかった。

 「中国きっての知日家で日本文学を愛し、若い時に日本に留学した周作人は私の大先輩。散文作家としても一流で、兄の魯迅と甲乙つけがたい」

 実は日本に来て初めて周作人を読んだという。

 「現在はタブーではないが、魯迅に漢奸(かんかん)(対日協力者)と呼ばれる弟がいたことは中国では長く抹殺されていた」

 受賞作は近いうちに中国の清華大学出版社から翻訳出版される予定だ。「広く、深い知識と哲学を持った周作人は20世紀の中国を理解するうえでも、中日関係史を考えるうえでも忘れてはいけない人物。もっと日本でも評価され、知られてほしいと願っています」

 敬愛する日本の文人として「漱石、鴎外はもちろんのこと個人的には永井荷風が好きです」。

 「この次は、まだ中国人によるきちんとした伝記が書かれていない政治家、蒋介石の伝記に取り組みたい」(石原尚)