会報『日本と中国』

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友好訪問詳細

友好訪問「作品を読んだことがあれば、相手に対する想像力や思いやりは変わってくる」

2012年 11月25日号
翻訳家 泉京鹿(いずみ きょうか)さん
翻訳家
泉京鹿(いずみ きょうか)さん

東京生まれ。94年より北京大学に留学、博報堂北京事務所勤務を経て、フリーランスに。約16年間北京で暮らす。訳書に『水の彼方~Double Mono~』(田原・著/講談社)『悲しみは逆流して河になる』(郭敬明・著/講談社)『兄弟』(余華・著/文藝春秋、文春文庫)等。09年より朝日新聞GLOBE「世界の書店から」で「北京のベストセラー」を連載中。フェリス女学院大学非常勤講師

現代中国人作家とその作品を日本に紹介

 「翻訳は究極の読書」なのだという。中国の若手ベストセラー作家の作品を中心に、翻訳を通じてリアルな中国を日本に伝える。

 大学での専攻は日本文学。しかし2年生の時、初めて訪れた北京に「ハマった」。「土地や通りの名前一つ一つの由来や意味がすごくおもしろい。旅行ではよく分からないから、北京に暮らして街をもっと知りたいと思った」と、卒業後、すぐ北京へ。2年間の留学生活を経て、広告代理店勤務の後、ライター、メディア取材のコーディネーターとして北京を走り回った。

 翻訳の仕事を始めたのは、北京で知り合った、作家で神戸国際大学教授の毛丹青さんがきっかけだ。「やってみないかとの話に、興味はあるけれど、中国語が専門ではないし… と迷っていたら、『大切なのは中国語力じゃない。母国語力と情熱だから』と。それでやってみようと思いました」。背中を押され、2003年に初の訳本『ニュウニュウ』(周国平・著)を出版した。

 「作品を読んだことがあれば、相手に対する想像力や思いやりは変わってくる。中国では日本の書籍が大量に翻訳されている。このままでは、日本は負ける、と思う」。

 現在は児童文学に挑戦中だ。気に入った本の作者をふと見れば、実は中国作家だった。そんな体験が日常になる日を期待したい。(立花裕子)