会報『日本と中国』

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プラットフォーム 田中 彰寿 ― (公社)日中友好協会理事 京都府日中友好協会会長 『長春の鉄道製造工場を訪れて』

2017年11月1日号

大阪中国総領事館の招待で(公社)日中友好協会の関西ブロックは9月、中国東北部吉林省を訪問した。数々の経験をしたが、ここでは長春の鉄道製造工場について書こう。
 巨大な工場で高速鉄道、新幹線もつくっているとか。普通の電車を動かす台車の部分は年間1万台つくるという。一つの車両に2個つけるとして、年間5000車両ほど製造していることになる。中国全土で同じ規模の工場が3カ所ある。国内用のみならず、アメリカ、サウジアラビア、オーストラリアなど世界中に輸出している。日本にも優秀な鉄道製造工場はあるが、その生産数量が桁違いなのである。日本は金属系製造業ではすでに中国に遅れをとったのではないだろうか。
 「吉林で新幹線に乗ってきた」と言うと、聞く人は驚く。大半の日本人は2011年の温州市での新幹線事故以来、中国の新幹線は止まっていると思っているからである。事故は6年も前のことだ。日本人の中国の新幹線についての認識は11年で止まったままである。事故が起こったからといって、いつまでも鉄道が止まっているわけではないが、日本人の中国への意識はそうなのだ。
 一方で、「すでに走行距離は日本の10倍だ」と言うと、怪訝な顔をする日本人が大半だ。日本が50年走らせてきた新幹線の距離を中国はすでに5年で走らせていることになる。「モノ真似だ」と陰口をたたく人もいるが、産業はすべて真似から始まるし、明治時代の日本もすべて西洋から機械設備を輸入して運営方法を教えてもらった。日本海海戦の戦艦群もすべて輸入された軍艦で、独自につくったものなどはない。日本も同じだったのである。
 ところが、こと中国については日本より劣っている、いや劣っていてもらわなければ困る、という意識が先行して素直に見ることができない。私たち日本人は、中国人の意識や、やり方をことさらに非難するが、その前に私たちの中国に対する認識を素直に改めるべきであろう。