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プラットフォーム 西園寺 一晃 ― 東日本国際大学客員教授 北京大学客員教授 『国際社会で増す中国の存在感』

2017年8月1日号

国では間もなく今秋に開催される19回党大会に絶大な影響を及ぼす「北戴河会議」の幕が開く。渤海に面した保養地北戴河に集まった現指導部、前元指導部、軍、地方幹部などによる非公式な会議、意見交換、根回しが行われ、秋の党大会の骨格が決まる。
 議論される問題は主として3つ。新指導部人事、経済政策、対外戦略だ。これまでの北戴河会議を見ると、現指導部が弱体だと議論が紛糾し、逆の場合は現指導部の意向がほぼ通る。19回党大会は、これまでのやり方が踏襲されれば、トップ7のうち習近平、李克強以外の5人が交代する。5つの空席に誰を配置するかは極めて重要である。
 では、現在の習近平体制は強固なのか、弱体なのか。日本の報道はマイナス面を強調し過ぎるが、3つの面から判断すると良い。国民の人気・支持、経済状況、国際社会における中国の存在感。国民の人気については良好と言える。「反腐敗」も適当なところで収束すると思われていたが、徹底して続ける姿勢が国民から喝采を受けている。問題は少なくないが、平均国民所得も伸びているし、雇用も安定している。経済構造の転換中にしては、あまり国民が「痛み」を感じていない。減速とは言え、成長率6・5%―6・9%というのは、世界ではトップクラスだ。
 習近平時代に入り、中国の国際社会における存在感は増した。人民元の基軸通貨化、AIIBの設立、習近平肝いりの「一帯一路」北京会議の成功などは、国際社会の予想をはるかに上回った。特に「一帯一路」については、一貫して冷淡だった米国は一転支持を表明し北京会議に参加、日本も慌てて二階自民党幹事長に安倍首相の親書を持たせて北京に送った。
 これらから判断すると、習近平の党、政、軍における影響力は一段と増したと言える。さまざまな課題を抱える中国だが、今秋の党大会は習近平の強力なイニシアチブで開催されることは間違いないし、5つの空席に座る常務委員は習近平に忠実な顔ぶれになるだろう。