会報『日本と中国』

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プラットフォーム 西園寺 一晃 ― 工学院大学孔子学院長 北京大学客員教授 『第13次5カ年計画始動』

2016年5月1日号

の3月、全人代が開催され、第13次5カ年計画が始動した。世界中で注目されたのは成長率だが、2020年までの年間平均成長率を6.5%以上とした。因ちなみに第12次5カ年計画における年間平均成長率は7.8%であった。その後成長率は減速を続け、2015年は輸出の大幅減などがあり、7%の目標を割り、6.9%となった。
 中国経済がどうなるのかは、世界の注目の的である。今や中国がくしゃみをすると各国が風邪をひく時代になった。中国の存在感が増したと同時に、中国の国際社会に対する責任が大きくなった。
 日本には中国経済が明日にでも崩壊するというような論調が氾濫している。果たしてそうだろうか。私たちは冷静、客観的に見る必要がある。
 今の中国経済にはプラス要素とマイナス要素が混在している。マイナス要素は、世界経済の低迷と中国経済の構造的欠陥である。輸出の不調、鉄鋼や石炭といった製造業の過剰生産能力、不動産の膨大な在庫、国有企業改革の遅れ、金融分野の潜在的リスク、高齢化社会に追い付かない福祉、環境の悪化などである。
 一方で、サービス業の急速な発展、雇用の安定、消費の堅調、食糧生産の好調、内陸部農村地帯の都市化の進展といった有利な要素もある。何といっても世界の外貨準備総額の3分の1弱を占める外貨を有しているのは大きな強みだ。中国は経済構造の転換期にあり、すでに政府は様々な手を打っている。供給側の構造改革などを通じ、市場原理を重視し、民間の活力を引き出す。それに欠かせないのは、国有企業の大胆な改革で、李克強首相は統合、再編、整理を含め、断固実行すると言う。内陸部農村地帯の都市化は、中国版列島改造である。新中小都市間を高速道路と鉄道で結び、流通革命を起こし、一方で農村の余剰人口を吸収し、工業とサービス業を興す。
 対外的には一帯一路計画だ。これらはすでに起動し、徐々に効果が出始めれば、中国経済は安定成長へとソフトランディングするだろう。