会報『日本と中国』

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プラットフォーム 西園寺 一晃 ― 工学院大学孔子学院長 北京大学客員教授 『日中友好こそ最大の安全保障』

2015年11月1日号

つて経済の面で「米国がくしゃみをすると日本が風邪をひく」と言われた。それほど米国の経済規模が巨大で、日本だけでなく世界経済に対する影響力が大きかった。
 しかし、今はグローバル化が進み、各国の経済的相互依存関係は深化している。比較的小規模経済の国でも経済危機に陥れば、負の連鎖は世界を駆け巡る。まして大規模経済の国なら尚更である。
 8月、上海株が暴落した。その影響は世界の金融市場に及び、世界同時株安となった。中国政府の様々な対策で、中国株は落ち着きを取り戻したが、今や第2の経済大国になった中国がくしゃみをすると世界が風邪をひく時代になった。
 このように相互依存を深める世界経済、一国では生きてゆけない状況とは裏腹の現象が起きている。それは安全保障上の相互不信と軍拡傾向である。
 先ごろ国会で強行採決された「安保法制」の基本にあるのは「中国脅威論」であり、その中国を事実上「仮想敵」と見なし、米国と共に軍事的に対峙(たいじ)するという考え方である。そのために憲法学者の95%が違憲と言い、世論の多くが反対であった集団的自衛権行使に対する憲法解釈を与党協議だけで変え、閣議決定をし、国会で強行採決をした。
 戦後70年、日本は直接戦争に関わらなかった。どの国も攻撃しなかったし、どの国からも攻撃されなかった。だからこそ、日本は戦後驚異的な発展を遂げることができたのである。平和憲法が大きな抑止力となり、経済発展の守り神となっていた。
 今回日本は「戦争ができない国」から「戦争ができる国」へと舵を切った。このことは今後の日中関係にどのような影響を及ぼすのだろうか。安保問題は複雑で、様々な意見がある。しかし「日本にとって、日中友好こそ最大の安全保障」だと考えるわれわれとしては、平和な日本を次の世代に残すためにも、今回の「安保法制」問題を真剣に考え、実際の運用について厳格に監視する必要がある。