会報『日本と中国』

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プラットフォーム 橋本 逸男 ― (公社)日中友好協会副会長 元駐ラオス大使 『爆買いに思う』

2015年8月1日号

近、中国の訪日客が急増し、各地で頻繁に見掛けるようになった。日本への経済効果は大きく、秋葉原の電気店やデパートや空港免税店までが「爆買い」で潤っている由。
 一部には、こうした現象を驚き、呆れ、皮肉ったりする向きもあるが、私は大変有り難く、嬉しく思う。中国経済が発展して、余裕のある層が膨らみ、日本側のビザ発給緩和や「円安」などと相俟って、日本観光への関心が一気に顕在化し、訪日者が激増したのであろう。実際に来てみたら「中々良い」と、口コミ、噂などが広がり、ネットでも様々な「見聞」が紹介され、それがますます訪日者を増やす、というサイクルになっている。
 「爆買い」はこうした流れの「原因」でもあり、「結果」でもあろう。関係業界はホクホクで「中国客様々」だと思うが、私が「嬉しく」、「有り難い」と思うのは、そうした「経済効果」ではなく、かくも多くの中国の人々が日本を訪れ、各地の風光を愛で、日本の人々と接し、日本の料理を味わい、日本の店を覗いてくれること自体に対してである。
 私も中国に志し、日中間を行き来して40余年、双方の関係が高揚し、中国の最高指導者が北京の大使公邸を一度ならず訪れたほどの時期も経験しているが、国民のレベルで、これほど日本への関心が高まり、多くの人が訪れ、日本を感じてくれた時期はなかった。中国のネットには、日本に行くのを心配したり、日本製品の購入は「愛国心の欠如」と批判したりする論も見えるが、どう見ても強い説得力を持つ風ではない。
 要するに、中国からのこうした訪日の流れは、日本に対する素朴で、自然な関心、興味の発露なのではないか?
 当局がこうした人の流れ、「爆買い」に消極的な姿勢を示すこともない。そうした全てを有難く、嬉しく思う。我々は、そうした願わしい人の流れに、「友好とは」とか「中国人は斯くあれ」といった「小難しい」思弁的な考慮を働かせるのでなく、中国の皆さんを喜んで迎え、日本を楽しんで頂きたいものである。