会報『日本と中国』

トップページ > 会報『日本と中国』 > プラットフォーム一覧 > 2015年7月1日号 『今年は中国経済にとって正念場になる』

プラットフォーム詳細

プラットフォーム 西園寺 一晃 ― 工学院大学孔子学院長 北京大学客員教授 『今年は中国経済にとって正念場になる』

2015年7月1日号

国経済の動向が注目されている。リーマンショックの後、いち早く立ち直った中国経済は「世界経済の機関車」と言われ、大いに期待された。ところが2010年を境に経済成長の減速が始まり、減速基調は今も変わっていない。一部の評論家、メディアは「中国経済の崩壊が始まった」などと騒いでいるが、中国の指導部は、高度成長期は終わり中国は中度成長期に入った、この状態が「新常態」(ニューノーマル)だと、至って冷静である。
 ただ、中国経済を持続的安定成長の軌道に乗せるには、解決すべき課題は多い。高度成長の前半、成長を実現させた主な要素は爆発した購買力(内需)であった。ところが後半に入ると、相対的に内需の要素が低下し、代わって輸出、外資導入、固定資産投資が成長を牽引した。特に輸出は絶好調で、貿易黒字は急速に増え、あっという間に中国は世界一の外貨保有国となった。つまり、中国の成長は内需型から外需型へと変貌した。
 ここに落とし穴があった。リーマンショック以後、世界経済は長期不振の時代に入った。当然中国の輸出、外資導入は大きな打撃を受け、成長に陰りが生じたわけである。
 中国経済を持続的安定成長の軌道に乗せるには、内需を掘り起こし、内需型成長に転換しなければならない。その主力軍は内陸部農村の都市化である。内陸部に多くの中小都市を建設し、農村の余剰人口を吸収、工業とサービス業を興す。都市間を高速道路と高速鉄道で結び、生産・流通革命を起こし、大きな経済効果を生み出す。これは中国版列島改造である。
 なお、中国は更なる経済成長を国内だけでは考えていない。膨大な中国の生産力を海外発展途上国のインフラ整備に役立てる。つまり「一帯一路」構想で、中国も発展途上国も利を得る。そのためのサポートとして、中国は豊富な外貨を利用し金融機関を設置する。これがアジアインフラ投資銀行(AIIB)だ。今年は中国経済にとって正念場となる。